目覚めてる夢に向かって:ソレイユと『Good morning my dream』(改訂版)

紙媒体向けに編集していたことと、40話「ガール・ミーツ・ガール」を観返していて思うところがあったことと、とにかくいろいろあって書き直しました。すいません。一応以前に書いた「3つの星と新しい輝きのメロディー」の続きになります。(2017.07.23)

 

 さて、「3つの星と新しい輝きのメロディー」では “〈夜空→太陽〉への移行は明日へ向かうことである”という話をしました。この記事では、その“動き始めた”太陽の軌道を追っていきたいと思います。

 先に断っておきたいのですが、『Good morning my dream』は、取りも直さず『あかりジェネレーション』の歌です。いちご世代とあかり世代のテーマの相違については以前に書きました。しかしながら、ここでは敢えて“ソレイユ”という人称を固定して『Good morning my dream』を読むということを試みたい。この意図は、歌詞の意味を解釈し固定することではなく、歌詞を通して物語を照らすことにあります。

A word is dead

When it is said,

Some say.

I say it just

Begins to live

That day.

 

言葉は死ぬ

口にしたときに

という人がいる。

私は言う、まさに

その日に

生きはじめると

Emily Dickinson 

 

 では本題に入りましょう。『Good morning my dream』にソレイユという人称が介入すると、「朝」という言葉に新しい意味が浮かび上がってきます。すなわち、朝というのは太陽が昇る時ですから、これはソレイユが動き出したことを歌っている歌だということになるわけです。ソレイユの掛け声は「ソレイユ ライジング!」でした。「新しい服に着替え」、「未来ごと深呼吸」して、「南の空」へと向かっていく。そんな彼女たちの緊張と高揚感が読み取れます。

 より具体的に本編と重ねて言及していきましょう。

大事な決意はきっと ずっと前にしたの

今までと、これからに いちばん似合う朝を待っていたね

 このパートを歌っているのは紫吹蘭です。ソレイユ結成に際しての蘭についてのあれこれは、に述べました。“3人でライブに出ようとはじめて言い出したのは蘭だった”ということも確認しました。ですから、「大事な決意」はきっと、その頃から固まっていた。「今までと、これからに いちばん似合う朝」=ソレイユ結成の瞬間を、彼女はずっと待っていた。もちろんこれは、紫吹蘭1人だけの夢ではありません。「夢にあつまって」スターライト学園で出会い、そこではじまった毎日の中で、3人の夢=ソレイユは「目覚めてた」のです。ここで“friend”と“dream”は、ほとんど同じ意味を持つことになります。なぜなら、彼女たちの夢は、日常の中で生まれた、日常と地続きのものだから。そして「ソレイユを続けること」自体が夢なのだから。したがって、その形になった大きな夢に対する挨拶は「おはよう」でしかあり得ないということになるでしょう。 

扉をあけて出会いにいくよ

(いちご)夢にあつまって

(蘭)はじまる毎日

(あおい)目覚めてたmy dream

おはよう、わたしの大切なfriend 

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 さて、続くは2番のAメロですが、ここはもう言うまでもないかと思います。

あの時ね気づいたの これだってわかったの 世界が生まれかわるくらい

大きな声で呼びかけた 振り向いて欲しくて

 ここを蘭が歌うと、「あの時」が37話「太陽に向かって」のあの時だということになってしまう。自分の進む道を自分で決めた、「これだってわかった」あの時の変化は、まさに「世界が生まれかわるくらい」のものでした。

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 ところで、これは本当にどうでもいいことですが、私の推しは霧矢あおいです。でも、ソレイユの話をすると、不思議なぐらい紫吹蘭の話ばかりになってしまう。それだけ蘭の成長・変化はソレイユ結成と不可分なのだということだと思います。

 というか、そもそもいちごとあおいに関していえば、ある意味では一切の迷いもなかったかのではないかとさえ思うことがあります。ここで、編入試験合格後、はじめて学園の門をくぐる時のいちごとあおいのやり取りを思い出してみましょう。 

あおい「この門を越えたら、私たちのアイカツが本当にはじまる。いちご、一緒に頑張ろうね」

いちご「うん。やるからにはやる!一緒にトップアイドルになろう」

あおい「……どんなことがあっても友達だよ、いちご」

第2話「アイドルがいっぱい!」

 初期は一緒に上がっていけるかどうか、思い悩んでいた時期でした。美月や蘭に厳しい言葉を言われたこともありました。けれど、いちごとあおいはきっとずっと前から、それこそ小学5年生の夏から、根幹はブレていなかったのではないかと思います。

 ここで一度事実確認をしておきましょう。星宮いちごがスターライト学園に入ったきっかけは、紛れもなく霧矢あおいです。もちろん美月のステージを観て憧れたことも大きな理由ではありますが、あおいに誘われなければそもそもステージを観に行くことすらありませんでした。編入試験を受けようと誘ったのも、やっぱりあおいです。

 そして、霧矢あおいがアイドルになりたいと思ったきっかけも、やっぱり星宮いちごです。他ならぬいちごが、あおいを「見る側」から「見られる側」に引きずり込んだのでした。

あれは私がはじめてステージに立った瞬間で、はじめて見る側から、見られる側に回った瞬間。それからなんです。アイドルになりたいと思ったのは。今日まで私を導いてくれたのは、親友の星宮いちごなんです。

第40話「ガール・ミーツ・ガール」

 つまりどういうことかというと、レジェンドアイドルの血を引くいちごや、「アイドル博士」と呼ばれるあおいを突き動かしたのは、“血筋”でも“憧れ”でもなく、“友達”であるということです。導いてくれた親友を、2人が一瞬でも忘れたことがあったとは私には思えません。

 もちろん、2人の関係はここで終わるわけではありません。そこからはじまる毎日がある。新しく出会う仲間がいる。新しく目覚める夢もある。「光の向こうは 世界とつながる」のです。

 さて、かくして出会った3人の「目覚めてた」夢は、37話で形を成し、南の空へと動き始めました。その際、太陽に向かって走ってきた蘭が言った一言を、皆さんは覚えていますでしょうか。 

 

一緒に走り続けたい、仲間がいるから

 

 もうこれ以上の説明は野暮というものでしょう。全ては歌が語ってくれています。

扉をあけて出会いにいこう

(あおい)光の向こうは

(いちご)世界とつながる

(蘭)駆け出してmy dream

どこまでもキミと走っていたい  

 

 

 そして、駆け出した夢は、「ソレイユを続けること」という、進行形の「目覚めてる」夢になりました。最後は、その「目覚めてる」夢の向かう先を見据えて終わりたいと思います。

あおい「経験したことのない、大規模なツアーだけど」

いちご「きっと走りきれる、あおいと蘭が、隣にいてくれるから」

あおい「私も、いちごと蘭と一緒なら、怖いものなし!」

蘭「ああ、あたしもだ!一緒に走りきって、ずっと一緒に走り続けたい」 

いちご「いつの間にか、それは私たち3人の夢になってたね」

蘭「ああ、ずっと前から決まってたみたいにな」

あおい「じゃあ!どこまでも走っていっちゃいましょうか!」

3人「ソレイユ ライジング!」

第125話「あこがれの向こう側」

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 ここで、『Wake up my music』のこの歌詞を思い出してみましょう。

繋いだ手のひらはもう 自然なカタチ

少しずつ、でも最初から 決まってたみたい  

 「ずっと前から決まってたみたい」な夢を走りはじめたソレイユの3人は、この先何があっても、もう大丈夫なのだと思うのです。だって織姫学園長と星宮りんごは、あるいは神崎美月と夏樹みくるは、今でも一緒に走り続けているのですから。

 そんなマスカレードの世代からあかり世代までずっと受け継がれてきたSHINING LINE*を30分に詰め込んだようなエピソードが、173話「ダブルミラクル☆」でした。ソレイユの夢の成功を祈る意味でも、同話からの引用で、ここはひとまず締め括りたいと思います。

織姫 「ステージで心を一つにしたものは、いつだってまた一緒になれるわ」

りんご「私たちみたいにね」

第173話「ダブルミラクル☆」