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アニメの感想など

『アイカツ!』のその先へ:『ドリフェス!R』8話と『アイカツ!』41話

※この文章は、『ドリフェス!R』8話を観て居ても立ってもいられなくなって勢いで書いたものです。論理の破綻しているところ、文章として意味が通らないところ、誤読しているところ、などがあるかもしれません。

 

 


 

「大雨が原因でライブ当日に停電」と言われると、どうしても思い出してしまうことがあります。『アイカツ』41話「夏色ミラクル☆」です。スターアニスの面々は、電気を使わない即興の企画で観客を楽しませ、電源設備の復旧まで見事に間を持たせました。

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 対して『ドリフェス!R』8話「DearDreamファンミーティング!!!!!」では、ファンのエールによって「ドリフェスシステム」が動くという、現実離れした奇跡が起こります。

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 私が言いたいことは、この停電への対処の違いにめちゃくちゃ感動したというただそれだけのことなのですが、それでは文章にならないので、可能な限り冷静に、筋道を立ててお話していこうと思います。

 

アイカツ』が震災を機に「温かくて前向きな」作品を作ろうと方向性を変えたことは、今となっては有名な話です。

——その後、ゲームおよびアニメとしての企画は、どうなったのでしょうか?

加藤陽一)大きな転機になったのが、東日本大震災です。コンセプトを固めている最中の2011年3月に、東日本大震災が発生しました。地震が起きた瞬間、僕は東京・浅草のバンダイ本社で『アイカツ!』の会議に出席していたんです。地震で電車が止まったので、車で来ていた僕が3人に声をかけて、皆を送っていくことになりました。TVで原発津波のニュースを見ながら進むうち、都心で車も動かなくなっちゃって。結局浅草を出て、皆を送って23区内の家に帰るまで12時間位かかりました。そのとき一緒にいたのが、アニメ『アイカツ!』の若鍋竜太プロデューサーと企画スタッフです。車に缶詰状態で、8時間から10時間ぐらい、地震の影響を目の当たりにしながら、皆で『アイカツ!』のことを話しました。まるで合宿みたいな濃い時間でした。「こんなことが起きたら、いままで話したような作品はできないね」という話もその場で出て。それを受けて書き直した企画書の内容が、そのときの僕らの思いを込めたものだったんです。
——どんなふうに変わったのでしょうか?
 ネガティブな出来事も起こりえるレトロなスポ根路線は消えてなくなり、代わりに、「皆で一緒に笑いながら身近な幸せを改めて感じ、明日を信じる力、未来への夢を持てる作品」が必要だろうということになったんです。「トップアイドルを目指すスポ根サクセスストーリー」の部分はそのままに、「温かくて前向きな気持ちになれる作品を作ろう」と、企画をブラッシュアップしていきました。この段階の企画書に書いてあることは。現在のところほぼすべてが、作品内で実現しています。あの震災が、『アイカツ!』という作品にとっての転機だったと思いますね。

アイカツ!オフィシャルコンプリートブック』(学研パブリッシング、2014年、130-131頁)

 先ほど筋道を立てて云々と言いましたが、くだくだしく説明することでもないと思うので、いきなり核心に触れるところからいきます。スターアニスは台風による停電に対して——言い換えれば、天災に対して何をしたか。電気を使わずに、その時できる精一杯で観客を楽しませたのでした。この時の彼女たちの姿に、『アイカツ』それ自体を重ねて見ることもできるはずです。…なんてことは今の今まで考えていませんでしたが、気がついてみるとごくごく自然なことです。震災の影響を目の当たりにしながら、『アイカツ』はその時できる精一杯で、「温かくて前向きな気持ちになれる作品を作ろう」としてきました。そしてそれは成功しました。私は被災者ではないので、震災についてあまりものを言える立場ではないのかもしれませんが、『アイカツ』から「明日を信じる力、未来への夢」をもらった人はたくさんいるはずだと、そう思っています。

 そして、『アイカツ』放送終了から一年半以上が経過した今、天宮奏はこう語ります。

みんな、今日は本当にありがとう。

俺たちDearDreamは、ドリフェスで優勝して、デビューできて、みんなの前にこうやって立てています。けど、デビューしただけじゃ本物のアイドルにはなれないって、ある時気づかされたんです。悔しかった、すごく。だから5人で誓ったんです。1人1人が今よりもっと輝いて、みんなにエールを返そうって。それがエールをくれるみんなへの一番の恩返しだって。今日は、みんなから受け取ったエールを何倍にもして返そうと思ってたんだ。俺たちの成長した姿見てもらって、喜んでもらって、少しでもみんなの支えになれたらって。でも、最後の最後でもうダメだってなって、だけど、みんなのエールのおかげで、最後のステージができて、それで、わかったんだ。

みんなのエールの方がすごい!みんなからもらうものの方がずっと大きい!だから、俺たちの一番のライバルはみんななんだって!みんなに勝てなくてすっげぇ悔しいけど、すっげえ嬉しい!でも、だからこそ次は絶対負けないって思ったんだ!みんなと一緒に最高超えたくて、どこまでもどこまでも行きたくて、なんか、俺、俺、俺、

生まれてきてよかったあああああ!!!!!

今なら俺、何でもできる!何度でも立ち上がれる!そういう力、またみんなにもらった!いつも、いつもいつもいつも、みんなは俺たちの先を行っていて、こんな最高超えてる関係、俺、本当幸せだなって!俺たちはみんなの夢になって、みんなは俺たちの夢だ!一緒に行こう!最高超えてる、そのまた先へ!!

 私は『アイカツ』に出会わなければここまで生きてこられなかったような人間ですし、そもそもファンの側に属していながらこんなことを書くのはどこか傲慢な感じがするのですが、この奏のMCこそが、『アイカツ』とファンとの関係性なのだと思います。*1アイカツ』はその時できる精一杯で、電気を使わないエンターテイメントを作り上げました。けれど、ファンとの相互作用から生まれるエネルギーは、作り手側が意図していたよりもはるかに大きかった。それは奇跡のようなもので、だからこそ、それに負けないように再び前に進む。ファンもまた負けないように、全力で恩を返していく。そうして何度でも立ち上がり、親愛なる夢に向けて、絶えず最高を更新し超えていく。クリエイターとファンとの関係は、そんな「最高超えてる関係」なのだろうと——何も創造していない私が言うのは本当に傲慢が過ぎるのですが、『ドリフェス』を観て、確かにそう思いました。*2

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 この辺り平成生まれの私にはよくわからないのですが、1977年公開の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』は、ファンの熱心な同人活動に応えるべく制作された面が強いようです。それもまた「最高超えてる関係」なのかもしれません。

 クリエイターになれない私にできることは、作品と真剣に向き合うことと、こんな駄文を書き連ねることぐらいしかないのですが、そんな些細なことがもし「最高超えてる関係」の一部になって、また最高を超えていけるのなら、なんというか、生まれてきてよかったなあと思います。

 

 


ステージ。カメラワーク、カット割りが本当に素晴らしい。客席の光が白飛びしてしまう演出も、思わずキョロキョロしてしまういっちゃんもすごくいい。

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*1:アプモン』の花嵐エリとエリの母の関係性にも似たところがあります。

*2:一応断っておきますが、『ドリフェス!R』8話』の脚本は加藤さんではなく久尾歩さんです。